空気を水を環境を大切に蕎麦を打つ


全国津々浦々に蕎麦店があり、各地でご当地蕎麦が確立されています。
山形もそのひとつ。従来から「板そば」と呼ばれるタイプを提供する蕎麦店がたくさんあります。食べログで「山形市 蕎麦」で検索すると159軒!

『羽前屋』は大正5年の創業。もともとは初代七五郎が、旧県庁落成時に、雁島公園に出店したのが始まり。その後、駅前に移転したりと、数回場所を変え、平成元年から当地で営業を続けています。
店舗周囲には丹精込めた緑の空間。店内の一厘差しにも庭の花を活け、優しい雰囲気を醸し出しています。掃除も丁寧ですね。さすが老舗です。
しかもトイレは車いすにも対応。そんな気遣いも嬉しい蕎麦店。
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ご主人の辻春男さんは三代目。東京の大学へ進学し、東京の蕎麦店などでもアルバイトをしていましたが、卒業後に実家に戻り、継いだそう。
「50歳すぎてから、蕎麦が面白くなったね」と笑います。
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「羽前もり(一人半もり)」を頂きました。
まさに山形の「板そば」です。
大きな長い板や木箱にそばを盛り付け、農作等の共同作業や集会後に振舞ったのが由来とされていますが、その朴訥な趣きもまた美味しさに輪をかけます。
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こちらでは、北海道産の蕎麦粉を使用した二八蕎麦。
1番粉、2番粉、3番粉をブレンドして打っています。
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そば本来の風味が良い仕上がり。太くてがっしりとしているので、食べごたえもあります。量も多くて、大満足。
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辛汁は、鰹風味がバシッと効いたタイプ。潔さが前面に。
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そば湯の容器にも歴史を感じます。
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ふとメニューを拝見すれば、「お酒」の文字。こういう粋というか昔ながらの書き方にも歴史を感じますね。もちろん日本酒のことです。オーダーしたら、いやぁ、昭和テイストふんだん。
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「山形は空気も水も美味しいんですよ。それで、美味しい蕎麦が打てるんでしょうね」と辻さん。確かに蕎麦は、蕎麦粉と小麦粉、水のみで出来ています。シンプルゆえに素材の良さが前面に出てしまいます。
「心配なんですよね。これからの世の中が。空気を大切に、水を大切に、環境を大切にしないといけない」と辻さん。特に2011年3月の東日本大震災以来、様々な事象に思うところがあり、特に「脱原発」派として活動もなさっています。私も大震災の1か月後に宮城県石巻市に炊き出しの手伝いに伺ったり、毎年、沿岸部の現状を視察に伺ったりさせて頂いているので、辻さんのお話も興味津々。
機会があれば、ぜひ皆さんも辻さんのお話を伺うと、とても勉強になると思います。
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おいしかった!! ごちそうさまでした!!

【閉店】 羽前屋(うぜんや)
山形県山形市旅籠町1−18−11
023−622−6702
11:00〜18:30
定休日:月曜日
羽前もり(一人半もり)800円
お酒 600円

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