それは数日前の事だった。Facebook友達のまつざきさんが「松戸の印度が気になっている」と、僕のコメントに書いたのだ。あぁ、そういえば、もう5年くらい行ってない。
ちょうど僕は今日、東北に日帰りの用事があったのだけれど、ちょっとしたアクシデントがあり、22時帰宅予定が16時に戻ってきてしまった。そうだ、時間があるなら。そう思って、僕は松戸の「印度」に向かった。
16時すぎ。カウンター数席のみの狭小な店内は、相変わらず混沌とした空気感を放っていたが、珍しく誰もお客さんがいなかった。優しい女性店主は相変わらず昔のままで、まるで時が止まったかのような印象を受けた。メニューを見たら、今はコルマカレーは品切れ。激辛のカシミールカレーがとても気になったけれど、辛さがそんなに得意ではないので、大辛のインドカレーにした。
ライスと別皿のステンレス容器に入ったカレーは、すぐに登場した。サラサラとした中にスパイスたっぷりのスープカレーだ。具のチキン&ポテトと共に、炊き立ての風味豊かなライスにかけて味わっていく。大辛と言っても、そんなではなく、自分の中では中辛的な印象。以前はもっと辛かったイメージがあったけれど、僕が巷の料理の辛さに慣れたせいかもしれない。そして、サラリとした口あたりの辛さの中から、玉ねぎ的な優しい甘さもほんのりと伝わってくる。
東京のカレーに詳しい方ならコルマ&カシミールというメニューで、気づくかもしれない。そう、湯島のデリーのメニューだ。ネットなどには「印度はデリーとどういう関係?」という書き込みがいくつか見受けられる。僕も以前からなんとなく気になっていたので、女性店主に少しずつ伺うことにした。
20年くらいになります?以前、時々、来てて。「もう、37年なのよ♪」(ということは1983年創業?昭和だ)
わぁ、そんなに?大変ですね。12時から通しで夜までですよね?「カレーやさんは、いろいろ大変なのよ。仕込みも手間がかかるし、お客さんがいない時は、掃除もしなきゃいけない」
夜は常連さんが飲んでたりしますよね。「そうそう、私も一緒に飲んだりして楽しい♪」
カレーが好きだったんですか?それじゃなきゃ、こんな大変な仕事しないだろうし。「そう、カレーが好きで食べ歩いてた。その時、家庭でいろいろあって、カレー屋さんに相談してたら、じゃあ、スパイスの調合を教えてあげるからカレー屋さんやりなよ!って言われて」
えー、修行とかじゃなくて、いきなり教えてもらえるってスゴイ!!「そう。カレー屋さんの命はスパイスの調合。それを教えてくれた(笑)」
それって、もしかして、、上野のデリーですか?「いえ。デリー出身のカレー屋さんに教えてもらった♪」
・・・なるほど。この近所だと、あそこかな?とは思ったけれど、その先は敢えて聞かなかった。先方に迷惑がかかるといけないし。
サラサラしてて美味しいですね。「そう。スープカレーの元祖は札幌とか言われてるみたいだけど、それよりずっと前(注:1951年)からデリーはスープカレー。スープカレーの元祖は、デリー(笑)」
ふと壁を見るとインドのタージマハル宮殿や、インド人の写真が飾られてた。
これって、有名なインドの方なんですか?「ああ、それ?単なるインド人。私がインドに旅行に行った時に撮ったの」
わー、インドも行かれたのですね?「そうそう、インドが大好きで何度か行った♪」
いいなぁ、僕も行ってみたいけど、ちょっと怖くて。「若いうちに行ったほうがいいよ。案外と体力を使う国だよ」
ベナレスでしたっけ?行きました?「行ったよ♪」
なんか、スゴイって聞きました。「いろんな意味で、スゴイ(笑)」
いろんなものが流れてるって聞きました。「流れてる。スゴく汚い(笑)。でも聖なる川だから♪」
そんななのに沐浴してるんですよね。「してるし、川の水を飲んでる人までいる♪」
行ってみたいなぁ。「行ったほうがいいよ。行ったらインドが好きになるかもしれないし、キライになるかもしれない♪」
・・・楽しかった。
久々に来れて嬉しかったです。ごちそうさま、そう言って僕は650円を払い、お店を出た。
女性店主は「また、そのうち来てね♪」と言った。
次にいつ来れるか分からないけれど、その時はカシミールカレーにしてみよう、と僕は思った。

カレー専門店 印度
千葉県松戸市本町15-9
047-364-7938
12:00〜夜
定休日:日曜日
インドカレー 650円
https://tabelog.com/chiba/A1203/A120302/12007786/

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