真剣さが、うなぎに、素材に表れる
おはようございます! 北九州市グルメ旅、2日めです。
JR小倉駅周辺には、歴史のある飲食店が多いですが、こちらもそのうちの1軒。
今日は「うなぎ」からスタートという、なんとも贅沢な一日になりそうです。
和の趣きたっぷりの『田舎庵』は、創業約100年の老舗うなぎ店。
もともとは日本屈指の製鉄所で有名な八幡で創業したそうで、約40年前に、支店という形で、こちらが誕生。10年前に八幡を閉めるまでは2店舗あったそう。

ご主人の緒方弘さんは3代目。東京の大学へと進み、世界旅行研究会に所属していたそう。
当時は昭和40年頃というので、まさに1ドル360円の時代! 僕も10数年前は海外旅行雑誌のライターをしていましたが、時代が違います。当然に海外旅行は「高嶺の花」の時代。
「シベリアとかストックホルム、ベルリン、イギリス、スペイン、チュニジア、トルコ、イラン、アフガニスタン、インド……、いろいろ回ったね〜」と笑う緒方さん。
13か月ほど周遊していたそうで、途中でストックホルムなどで飲食店で働いたりも。日本でも山王飯店の中華で働いていたりもしたそう。

そして帰国して、家業を継いだわけですね?
「いや、最初は西武百貨店に就職したんだよね」と緒方さん。
当時はダンキンドーナツと提携して、銀座に1号店を立ち上げるという仕事のため、アメリカのボストンでフランチャイズアグリーメントビジネスの勉強などもなさったそう。
その後、地元へ戻って『田舎庵』を継ぐことに。
そのため戻ってきた時は26歳くらいだったので、その後、何倍も努力を重ねたそう。
家業といっても最初は皿洗いから。次第に研鑽を積み、うなぎを1時間に70kgも捌けるように。フグの免許も取得。

「良い食品を作る会、という、勉強会にも入っているんだよね」と緒方さん。
となれば、もう、うなぎのおいしさは相当のものでしょう!

さっそく、いただく事にしようと、メニューを拝見すれば、
もちろん通常の「蒲焼」「鰻丼」「鰻重」はラインナップされていますが、トップメニューに「せいろ蒸し」

せいろ蒸し?
一般的にうなぎは関東では蒸してから焼きますし、関西などでは蒸さずに直接、焼きます。でも「せいろ蒸し」という概念が、無い……。
とても気になったので、今回は「せいろ蒸し」をいただくことに。
そして、登場です!朱色の大きな重箱のようなものが、やってきました。
おお、まさに四角い「せいろ」です。

そして、蓋をあけると……
ふわ〜〜っと湯気とともに立ち込める、美味なるうなぎの風味!
見れば、一面にうなぎが敷き詰められています。
松、竹、梅などバリエーションもありますが、うなぎの種類ではなく、うなぎの量の違いだそう。

さっそく、いただきます。
おお、いわゆる関西系のようにダイレクトに焼かれたうなぎが、そこに!
でも、重箱の中で蒸されているので、関西のそれよりも、ややふっくらとした食感も。
最初はパリッと香ばしく、でも絶妙な柔らかさと、身のふくよかなる口あたりは、今までに味わったことの無い、新感覚。おいしい!!
お米は福島県の会津若松の契約農家さんから届くそう。



これでも、養殖なのだそう。僕にはとても美味しく感じるのですが、
「いやぁ、天然に比べたら、まだまだ」と緒方さんが笑います。
「40年くらい前の養殖は、天然と同じくらいレベルが高くて、しかも安かったんだよね。それが次第に、稚魚である、しらすうなぎを乱獲するようになって、結局、うなぎ自体が激減してしまった。今じゃ大手スーパーがうなぎの7割の売り上げなんだよね。彼らのせいで、少なくなっちゃった」
そして、養殖業者も営利に走り、どんどんレベルが下がっていったそう。
「でも、今、以前のような素晴らしい養殖うなぎを育てるところが、4軒くらい出てきたよ。これからが楽しみ」
そんな話を伺っていたら、緒方さんが「天然も食べる?」と、おっしゃいました。
じゃあ、せっかくなので、少し、いただきます!

ということで、参考作品。
これが……、さすがです。やっぱり、比べると、全然違う!!!
ワイルドで、武骨な感じ。でも決して臭みが無い。
この食材としての完成度は、ものすごいなぁ!!!
天然ものは、有明海や豊前海で採れるそう。
「うなぎは2枚皮になっているので、下の皮を溶かして、その油で焼く感じなんだよね」

うなぎにこだわっている『田舎庵』は、もちろん醤油やみりんなど調味料にも真剣。
今、用いている醤油は超特選丸大豆醤油で、TN1.9だそう。
TNは全窒素のことで、だいたい1.5を超えると特級。
もちろん全体を通して完全無添加、無化調。
でも、良いものを単に組み合わせればよいというわけではなく、やはり「相性」なのだとか。
「うざく」もいただきました。
今まで味わっていた「うざく」が何だったのかと思うほどの、真面目な1品。
海苔は、水前寺海苔を使用。

とても、勉強になったひとときでした!

おいしかった!!! ごちそうさまでした!!!
田舎庵 小倉本店 (いなかあん こくらほんてん)
福岡県北九州市小倉北区鍛冶町1−1−13
093−551−0851
11:00〜21:30(21:00L.O)
無休(年末年始は問い合わせ)
せいろ蒸し 竹 2100円
うざく 500円
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http://hants.livedoor.biz/archives/52006391.html
おはようございます! 北九州市グルメ旅、2日めです。
JR小倉駅周辺には、歴史のある飲食店が多いですが、こちらもそのうちの1軒。
今日は「うなぎ」からスタートという、なんとも贅沢な一日になりそうです。
和の趣きたっぷりの『田舎庵』は、創業約100年の老舗うなぎ店。
もともとは日本屈指の製鉄所で有名な八幡で創業したそうで、約40年前に、支店という形で、こちらが誕生。10年前に八幡を閉めるまでは2店舗あったそう。

ご主人の緒方弘さんは3代目。東京の大学へと進み、世界旅行研究会に所属していたそう。
当時は昭和40年頃というので、まさに1ドル360円の時代! 僕も10数年前は海外旅行雑誌のライターをしていましたが、時代が違います。当然に海外旅行は「高嶺の花」の時代。
「シベリアとかストックホルム、ベルリン、イギリス、スペイン、チュニジア、トルコ、イラン、アフガニスタン、インド……、いろいろ回ったね〜」と笑う緒方さん。
13か月ほど周遊していたそうで、途中でストックホルムなどで飲食店で働いたりも。日本でも山王飯店の中華で働いていたりもしたそう。

そして帰国して、家業を継いだわけですね?
「いや、最初は西武百貨店に就職したんだよね」と緒方さん。
当時はダンキンドーナツと提携して、銀座に1号店を立ち上げるという仕事のため、アメリカのボストンでフランチャイズアグリーメントビジネスの勉強などもなさったそう。
その後、地元へ戻って『田舎庵』を継ぐことに。
そのため戻ってきた時は26歳くらいだったので、その後、何倍も努力を重ねたそう。
家業といっても最初は皿洗いから。次第に研鑽を積み、うなぎを1時間に70kgも捌けるように。フグの免許も取得。

「良い食品を作る会、という、勉強会にも入っているんだよね」と緒方さん。
となれば、もう、うなぎのおいしさは相当のものでしょう!

さっそく、いただく事にしようと、メニューを拝見すれば、
もちろん通常の「蒲焼」「鰻丼」「鰻重」はラインナップされていますが、トップメニューに「せいろ蒸し」

せいろ蒸し?
一般的にうなぎは関東では蒸してから焼きますし、関西などでは蒸さずに直接、焼きます。でも「せいろ蒸し」という概念が、無い……。
とても気になったので、今回は「せいろ蒸し」をいただくことに。
そして、登場です!朱色の大きな重箱のようなものが、やってきました。
おお、まさに四角い「せいろ」です。

そして、蓋をあけると……
ふわ〜〜っと湯気とともに立ち込める、美味なるうなぎの風味!
見れば、一面にうなぎが敷き詰められています。
松、竹、梅などバリエーションもありますが、うなぎの種類ではなく、うなぎの量の違いだそう。

さっそく、いただきます。
おお、いわゆる関西系のようにダイレクトに焼かれたうなぎが、そこに!
でも、重箱の中で蒸されているので、関西のそれよりも、ややふっくらとした食感も。
最初はパリッと香ばしく、でも絶妙な柔らかさと、身のふくよかなる口あたりは、今までに味わったことの無い、新感覚。おいしい!!
お米は福島県の会津若松の契約農家さんから届くそう。



これでも、養殖なのだそう。僕にはとても美味しく感じるのですが、
「いやぁ、天然に比べたら、まだまだ」と緒方さんが笑います。
「40年くらい前の養殖は、天然と同じくらいレベルが高くて、しかも安かったんだよね。それが次第に、稚魚である、しらすうなぎを乱獲するようになって、結局、うなぎ自体が激減してしまった。今じゃ大手スーパーがうなぎの7割の売り上げなんだよね。彼らのせいで、少なくなっちゃった」
そして、養殖業者も営利に走り、どんどんレベルが下がっていったそう。
「でも、今、以前のような素晴らしい養殖うなぎを育てるところが、4軒くらい出てきたよ。これからが楽しみ」
そんな話を伺っていたら、緒方さんが「天然も食べる?」と、おっしゃいました。
じゃあ、せっかくなので、少し、いただきます!

ということで、参考作品。
これが……、さすがです。やっぱり、比べると、全然違う!!!
ワイルドで、武骨な感じ。でも決して臭みが無い。
この食材としての完成度は、ものすごいなぁ!!!
天然ものは、有明海や豊前海で採れるそう。
「うなぎは2枚皮になっているので、下の皮を溶かして、その油で焼く感じなんだよね」

うなぎにこだわっている『田舎庵』は、もちろん醤油やみりんなど調味料にも真剣。
今、用いている醤油は超特選丸大豆醤油で、TN1.9だそう。
TNは全窒素のことで、だいたい1.5を超えると特級。
もちろん全体を通して完全無添加、無化調。
でも、良いものを単に組み合わせればよいというわけではなく、やはり「相性」なのだとか。
「うざく」もいただきました。
今まで味わっていた「うざく」が何だったのかと思うほどの、真面目な1品。
海苔は、水前寺海苔を使用。

とても、勉強になったひとときでした!

おいしかった!!! ごちそうさまでした!!!
田舎庵 小倉本店 (いなかあん こくらほんてん)
福岡県北九州市小倉北区鍛冶町1−1−13
093−551−0851
11:00〜21:30(21:00L.O)
無休(年末年始は問い合わせ)
せいろ蒸し 竹 2100円
うざく 500円
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