北前船に思いを馳せながら、にしんそばを


北海道江差町。民謡の“江差追分”で有名な当地は、かつてニシン漁が盛んでした。北前船で日本海〜瀬戸内海を通って大阪へと運ばれ、巨富を得た方々も多く、旧中村家住宅に代表される、通称“ニシン御殿”が存在する地。また、北海道最古の伝統を誇るといわれる江差姥神大神宮渡御祭もあり、華やかなりし頃を忍ばせる行事が今に残ります。
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その地で「にしんそば」を追求する1軒が、『手打そば 和海』。
江差町役場に近い、国道227号線沿いに位置するそば店は、目の前に雄大な日本海が広がり、まさに“海を眺めながら和める”雰囲気。道南杉を活かした店内にも、アットホームさがただよいます。
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ご主人の坂本純さんは、地元・江差の出身で、「祭りがあるから戻ってきた」と笑います。
今でも町内の絆が残る地域って、いいですね〜。
ちなみに店内に飾られている写真は、祭りの山車に飾られている歌舞伎人形。豪華絢爛な山車が十数台も、吹き流しや錦の御旗をひるがえし、祇園囃子の調べに乗って、昼夜町内を練り歩くさまは、まさに圧巻だとか。一度、拝見したいものです。
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さっそく、「にしんそば」をいただきましょう。
道産のそば粉を使用した手打ちの二八そばは、やや平たくて、するすると喉を伝わっていきます。
汁が、いいですね。伺えば、カツオやウルメ、宗田節、サバ節など、様々な節類のほか、江差の昆布も使用した汁で、ダシの旨みが前面に出ています。
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一般的な「にしんそば」は、ニシンの味付けが汁に映ってしまい、ややぼやけた味になりがちなのですが、こちらは全くそういうことがない事に驚きます。
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「そうなんです。そこが決め手なんです」と、坂本さん。

市販の身欠きニシンの甘露煮を用いれば簡単ですが、変な後味と甘さなどが汁に浸透してしまいます。それが嫌で、わざわざ手作りしているそう。身欠きニシンを水煮して、汁につけて、と、5日もかかって完成するそれは、日本料理の延長線上的な、上質な甘露煮に仕上がっています。

ちなみに「野菜天ざる」の天ぷらは「酸化しにくいものを」と、米油を使用するこだわりも。
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かつて北前船が往来したであろう日本海を眺めながら、ゆっくりとそばを手繰る。
ロマンあふれるそば店が、江差にありました。


おいしかった!! ごちそうさまでした!!


手打そば 和海 (なごみ)
北海道檜山郡江差町愛宕町40−2
0139−52−1211
11:30〜15:00(なくなり次第終了)
定休日:月曜日
にしんそば 1100円
海老天ざる 1480円


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