乃し梅が、時代とともに進化していた!


創業文政四年(1821年)。『乃し梅本舗 佐藤屋』(のしうめほんぽ さとうや)。文字通り、乃し梅を代表銘菓とする菓子店です。
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同社のWebサイトによると、
「乃し梅は、最上義光公が領主であった当時、山形城主の御典医であった小林玄瑞が、長崎での遊学中、中国人から梅を原料とした秘薬の製法を伝授され、気付け薬として山形に持ち込んだものが始まり」だそうで、それが「玄瑞の子孫により民間薬として広まったものを、より食べやすく菓子として売り出したもの」だそう。
なので、乃し梅の元祖は山形であり、文献に残る最古の1軒が『佐藤屋』なんだとか。
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八代目である常務取締役の佐藤慎太郎さんが、製造工場を見せて下さいました!「おとなの社会科見学」みたいで楽しい♪
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工場は通りを挟んだ向かいにありました。原料は村山産の梅、長野の寒天、砂糖のみ。
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思いのほか手作業が続き、ちょっとびっくり。もっとオートメーション化しているのだと思っておりました。
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木枠のついたガラス板に流し込みます。
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地面と平行に流し込まないと熱さが均一にならないので、平行器を用いて、平らにして、固まるまで待つわけです。
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こちらが、乾燥室。
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数日たつと、こうなります。
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「切りましょうか?」と佐藤さん。
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ステンレスで出来た四角い容器に何枚かを重ねて……
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独特のステンレス包丁で切っていきます。
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「独特の力の入れ方なので、腕が珍しい筋肉のつき方になっちゃいます」と笑います。確かに珍しい!
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こちらが代表銘菓の「乃し梅」
梅の酸味と、ガラス板を用いる製法ゆえのつるりとした滑らかな食感が素敵です。
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現代では、アルカリ性食品でクエン酸を多く含む梅の、健康食品としての側面からも高い人気なんだそう。
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そして「乃し梅」は進化を遂げました。チョコレートとの融合で「たまゆら」という新商品に。生チョコの上に乃し梅が乗っていて、お酒にぴったりだとかで、Barなどが仕入れてくれたりもしているみたい。
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実は梅のような“酸”と寒天は一緒にできないという定説があるそうで、でも、それをクリアーしたのが「乃し梅」。その製法を応用して、完成したのが「りぶれ」。愛媛は怒和島産の樹上で熟したレモンを丁寧に佐藤屋で蜜漬し、皮ごと全部浮かべた羊羹。羊羹は小豆と黒糖、ラム酒を加えて濃厚に仕上げ、レモンの酸味とほのかな苦みが後味をさっぱりとさせてくれる、しっかり和菓子なのにどこか洋の雰囲気を併せ持つ、面白い一品。羊羹嫌いでも美味しく味わえます。
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「乃し梅も、時代と共に進化するんだ」と敬服することしきり。しかももっと驚いたのが、売り上げの1/3はレストランなどの卸しなんだとか。日本料理店やフランス料理店などで、他の食材と組み合わせて、前菜などに使用する事も多いのだとか。
伺えば伺うほど、奥の深い「乃し梅」なのでした。


おいしかった!! ごちそうさまでした!!


乃し梅本舗 佐藤屋(さとうや)
山形県山形市十日町3-10-36
023-622-3108
8:30〜18:00
無休(元旦のみ休み)
乃し梅 10枚入り 1080円
乃し梅 5枚入り 540円
たまゆら 6個入 1080円
りぶれ 1296円

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